昨日のこと、スーパーへ自転車で買い物に出掛けた帰り道に、以前お世話になっていた測量事務所の前で元同僚のIさんとばったり再会。実に三年ぶりでした。
この間にどうしていたのか等々、ちょっと長話になりました。
社員を募集しても人は集まらず、せっかく入社してもかなり短期間で辞められてしまうそうです。
また、主要メンバーがあの当時でも65歳前後で、その方々もさっさと引退したがっているそうで。
私が退職直前に作った台帳はちゃんと利用されて役立っているそうです。ただ、その後のメンテがされておらず、直近三年分はまともに管理されていないそうで。
この台帳が無かった頃は、過去の案件の書類を探すのに何時間も掛かったりでして。それは全く無駄な時間でしたし、あの台帳で三分もあれば書類が見つかるようになり。
そして、若手のMさんは私の退職後に後を追う様に退職されたそうです。
Mさんは私の入社からしばらく経った頃に入社した30歳ほどの男性でした。大学時代にメンタルを崩して中退してしまい、その後は職を転々としていたそうです。
不動産関連の仕事をしていた頃に宅建の資格を取り、測量の仕事に興味を持ったそうで。
今後は更に難易度の高い調査士の資格も取得したいと。
事務所でも調査士の資格は重要で、期待の新人でもありました。
本人は二十代の頃に転職回数が多かったので、何があってもこの仕事を続けたい意気込みでした。
私などよりよほど若く、動機もしっかりしていて夢もあり。素直に応援したかったのですが。
Mさんが入社間もない頃、出先で二人きりになった際、彼は弾丸トークで根掘り葉掘り色々と質問してきました。
解かる範囲で何でも答えてあげました。差し障り無い範囲で。
その後、Mさんは何故か会話を拒む雰囲気で。こちらから話し掛けても素っ気ない一言ばかり。
三十代の若手でも、現場の仕事はキツそうでした。イメージと違い肉体労働が占める割合は高く。
ただ、Mさんは立場の強い上司とは上手くやっている様子でした。
しかし、二ヶ月ほど経った頃に事務職の女性から訊かれてしまいました。「Mさんと上手く行っていますか?」と。
「私とMさんに会話が無いの、やはり気になりましたか?」と逆に質問してしまい。
Wさんはいつも優しく気が利いて面倒見も良い方で。そんなWさんが元気の無さそうなMさんに一言を掛けた際「僕に構わないで下さい!」と怒鳴られてしまったそうです。
想定外の態度にWさんは驚いてしまい、その後は会話が無いそうです。
「私はそこまで言われていないのですが、彼が入社間もない頃に親切を何か誤解されてしまったみたいでして。訊かれたから答えただけなのですが」。
ともかく、お互い気をつけましょうと。
大学を中退する原因になったメンタルの問題をまだ引き摺っているのだか。
どうにも被害妄想に陥りやすい傾向で。
Iさんによると、最後の頃のMさんはほぼ全社員とこんな状態だったそうです。それも必ず二人きりの場面で同様の展開だったそうで。
「ものが無くなると皆僕を疑ってばかりいる!」が退職前の最後の言葉だったそうで。
私が在職していた頃は、Mさんが困っているとそっとリカバリーしてあげたりでしたので、その後に症状が悪化した様子です。
Iさんも「奴は目つきも普通じゃ無かった」と。
せめて、攻撃的な症状が無ければ何か違ったのだか。きっと以前の職場でもこんな感じだったのでしょうし、爆発する前に病院に行けないものなのか。
仕事はソコソコ出来ていたの、事務所にとっても本人にとっても勿体無いとも思えました。
「プー(無職)してるんだったら、戻ってくりゃいいじゃんかよ」と、Iさんに言われたのは嬉しかったです。数ヵ月前にたまたま再会した元上司からも同じことを言われましたし。
有難い言葉ですし、変な辞め方をしなくて良かったとも思います。
ただ、上司の方々の言葉遣いはかなり悪く。一番の長は一日中部下に文句でイビり続けたり。あれは黙って見ているだけでも気分が悪くなり。
更に、現場の作業がかなりの肉体労働で。
土地の境界を示すコンクリート杭を新規で打つ際は、一日中手作業で穴掘りが続いたり、コンクリートを混ぜ続けたり。この生コンがまた重く。
古い境界杭を探すには、スコップで2m穴を掘る場面もあったり。これも一日中続くことが。
本業の土木屋さんでしたら、重機を使うと思うのですが、何故か全て手作業でした。
新入社員でも早ければ一日で辞めてしまう仕事でしたし、一ヶ月持たないのも当たり前で。
私の場合は半年で遂に腰にきてしまい。
Mさんは四ヶ月くらい続けられたので、私からすると随分と頑張ったと思います。
これで人並みの年収ならまだ諦めがつくのですが、建築業界の末席な立場で驚くほど安い年収でした。
結果的に、長く続けている方々の体力や筋力は凄いものがありました。
入社前のイメージとは全く異なりました。道路で時々見掛ける測量作業くらいしか想像していませんでした。
トイレが無い場所での作業が続く際は、食事制限もしがちでした。お腹を壊していたら全く仕事にならずで。
結果的に、あの半年は健康的であれたと思います。
私が退職するしばらく前にコロナワクチンの一般接種が始まり、職場では予約の取り合いもあったりでした。
現場系の仕事ですと、強制接種の傾向もあり、あのまま続けていたら私も仕方なく接種していたのかも知れません。
Iさんはあの事務所の社長の二世で、立派な大学を卒業したのですが親の希望でこの会社に入り、他社を知らないそうです。
根っからの江戸っ子で言葉遣いは乱暴なのですが、嫌味は無く冗談好きで。冗談の飛ばし合いが毎度楽しみな兄貴分でした。
Iさんより年下の社員は私も含めて当時五人ほど居たのですが、男性は皆未婚でした。
確かにこの年収と仕事のキツさで結婚は難しい様子でした。
帰宅後、ベランダに出ると御近所さんが歩道に。
前回綴ったニュースの件が話題になりました。
会話の途中で別の御近所さんも加わり、またしても長話になってしまい。
しかし、皆蚊に刺されて痒い痒いと退散。
何だか会話の多い一日になってしまいました。
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