古い大衆車の現存率

昨日観掛けたニュース記事で思い返したりでした。
30年前とか40年前の四輪をたまに見掛けるのですけれど、当時から高級車だったのばかりだなぁと。
一世を風靡した大衆車は、当時あれだけ溢れていたのにほとんど残っておらず。例えば80年代初頭のファミリアやシビックです。
当時としては性能も良かったそうで、デザインも優れていて安価だったので、カローラよりも一時的に売れたくらいで。
カローラが指標だった時代はとても長く。

現代の車に比べて使っていた金属の質も劣っていたらしく、錆でボロボロになって廃車になったり、高性能だった故に中古車が若者に酷使されて廃車になったりだそうで。
現在の中古車市場にも極僅かに出回っているそうですが、これがけっこう立派な値段。
それなりのレストアがされていたら当然の値段だとは思いますが、よほど好きじゃないと貰い手は居ないだろうなぁと。
80年代を再現した映画やドラマの道具を入手する事情でもなければ、余程の思い入れが必要そうです。

数日前のこと、自宅近くのコンビニ駐車場で古いVespaを見掛けました。
エンジンがなかなか掛からず、何度もキックしていて。
自分も嘗て兄弟車種を所有していたので、気になって話し掛けてみることに。

既に十五年乗り続けているとのオーナーさんでした。
でしたら、癖は十分に判っているだろうし、余計なアドバイスはしないことに。
ともかく小さな故障が多かったそうで、それは自分も同じでした。レストア代や修理代で既に百万円以上の維持費が掛かっていたそうです。
自分の場合は自分で直していたので、そこまでお金は掛からなかったものの、十五年も所有していたらそれくらい掛かっていたのかなぁ?とも。
見た目はテールランプが標準で無かったり、マフラーというかチャンバーがスポーツタイプに変更されていたりの車体でした。
しかし、ナンバーも車体も50ccのまま。

50ccの車体は30km/hの規制とか二段階右折とか面倒でしかない存在です。
あいにく原付の免許しか所有されていないらしく。小型自動二輪の免許を取得したら、かなり楽になるのにといった会話になりました。
車体はそのままでも、奥の手はあるのになぁと。
チャンバーは既に交換済みですし、メインジェットの交換も既にされているかと。それだけで、全くパワーが異なる嘗ての2サイクル。
一般道の四輪の流れに迷惑掛けない走りは既にあったと思います。

当時の古いVespaは、動く芸術品くらいの何かを持っていて。
路上駐車の規制が突然厳しくならなければ、都心暮らしだった自分も手放さなかっただろうなぁと。
当時の自分は古いマンションな自宅前にVespaを停めていました。それで突然のルール変更で切符を切られ。
まぁ、無くても生きて行けるサラリーマンで、半分は趣味の乗り物でした。山手線の内側を移動する分には縦横無尽な小道具でもあって。
自分よりも気の毒だったのは、歴史ある老舗のスーパーカブとかも切符を切られてしまった点でした。自分と違って、商売道具の一つだったのに。
路地裏系の下町だったので、ほとんど迷惑掛けていなかったハズでした。一種の懐かしい風景だったのかもなぁと。
そんな方々まで一律のルールで単車を手放してしまうことに。ちょっとした死活問題であったと思います。
自分もこれでは維持できぬで手放してしまい。

現在自分が所有している単車は250ccのスクーター。国内ブランドの新車なので、最低限のメンテナンスさえしていればこの通り故障も無く。故障したのは自分の整備の失敗程度でした。
この優秀さと安心感は捨てがたいモノがあるのですが、あの手間の掛かり続けた古いVespaが未だ恋しくもあり。
それでも乗り続けているオーナーさんに、敬意です。

Comment

  1. ルノワールS藤 より:

    まさに「心地よい不便さ」だよな。
    俺もいまのクルマ、レッカー3回、部品交換や修理も複数回。エンジン始動も良い時と悪い時があって、アイドリングに耳をすませたりとかザラ。
    なのに、その前に乗っていた(故障とは無縁の)国産車よりもドライブの機会は格段に増えた。

    • SUKIYAKI より:

      ルノワールさんは四輪でそれをやっているから偉いと思います。
      自分の場合は壊れたら押して帰れば何とかなる小さな単車でしたので。日本橋の職場から外神田の自宅までギリギリ押して帰れる距離でしたし。

      Vespaもかなりクラシックなモデルは案外現存率が高いです。
      ルノーも何だかそんな感じが。サンクよりキャトルの方が生き残っていそうでもあり。
      話飛びますが「軽井沢シンドローム」という漫画を兄が当時愛読していて、サンクターボがカッコ良かったです。ちとエロな場面も好きでした。

      • ルノワールS藤 より:

        「軽シン」は当時、かなりハマって愛読してた。残念ながらいまは手許に無いが。
        作者のたがみよしひさは、キャラ造形もメカも上手な漫画家さんで、主人公が乗っていたウィリスMBジープに憧れたなあ。
        作中にはサンクターボをはじめ、ポルシェ928やロータスヨーロッパも出てきて、どれもがカッコ良かった。

        • SUKIYAKI より:

          実家には単行本一冊しか無くて、前後のストーリーが謎だったものの、車の描き方がカッコいいなぁと。
          実物のサンクターボを当時たまに見掛けましたが、えらい迫力ありました。